増刊1号 【報告書】板取村過疎問題に関する調査(1980年3月15日)
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序論 水崎節文=岐阜大学教授(政治学) |
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Ⅰ.村政について 水崎節文=岐阜大学教授(政治学) |
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Ⅱ.ダム問題について 水崎節文=岐阜大学教授(政治学) |
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Ⅲ.過疎について 辰村吉康=岐阜大学教授(政治学) |
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Ⅳ.あなたの村について 辰村吉康=岐阜大学教授(政治学) |
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結び 水崎節文=岐阜大学教授(政治学) |
表紙の写真
この調査は、岐阜県地方自治研究センターの1979度事業のなかの研究調査活動の一環として企 画されたものである。同センターでは、長期プロジェクトとして、岐阜県における過疎町村の実態調査を企画し、地域社会研究プロジェクト・チームを編成してその実施方法等を検討してきたが、初年度は重点調査地域として板取村と丹生川村を選定し、板取村については過疎化現象とその対策に対する住民の意識調査を、丹生川村については役場での聞きとりと資料蒐集ならびに衆落視察を行なった。本稿は、そのうちの板取村住民意識調査にかんする分析とレポートである。 過疎地域に対しては、現在までにも国・県そして各町村がそれぞれ緊密な連携のもとにかなり大がかりな対策事業を企画実施し、なお現在も進行中である。そして、これらの実施計画とその成果には 見るべきものも少なくない。しかし、こうした行政レベルでの対応を追跡するだけでは、過疎からの脱出への見通しを地域社会全体の方向性としてとらえることは困難であろう。何故ならば、そこには、政策の受け手としての住民、そしてやがてはその政策の実施に意欲的に参加していくべき住民の動向を把握するという視点が欠落しがちだからである。そこで、この調査では、住民が自分たちの住む村をどのように考えているか、そして過疎からの脱出にいかなる方途を求めているかに、始点をおいてみた。 「地方の時代」が叫ばれながらも、人口・財政力等の動向に依然として厳しい現実が存在し、他方、国や企業による地域開発が村落の環境、ひいてはその存在までも脅やかすという現況がある。そのなで、住民の主体的な意識と行動をコミュニティ再編の柱として組みこむことが果して可能であるのか? 可能であるとしても、その道程にはどのような困難性が立ちはだかっているのかが、当初から私たちをとらえた大きな関心事であった。 もちろん、これだけの調査では、これらの問題意識が十分に解明されるとは思っていないが、そこに至る方法論的模索として受けとめていただければ幸甚である。この調査研究は、地方自治総合研究所より当センターに交付された研究助成金に負うていることを、謝意をこめて付記しておきたい。
