岐⾩県地⽅⾃治研究センター
2024年2月22日活動報告

【岐阜大学協力講座⑪】尾関健治さん(元関市長・中部学院大学客員教授)から「自治基本条例・同性パートナーシップ制度を通じたこれからの地方自治」

岐阜大学協力講座の第11回目(1月30日)・そして最終回となるこの日は元関市長であり、中部学院大学客員教授の尾関健治さんから「自治基本条例・同性パートナーシップ制度を通じたこれからの地方自治」というタイトルで講義をしていただきました。

公のために尽くす、公平公正な社会にしたい、生まれ育った関市のために仕事をしたいという思いから、16歳の時に関市長になることを決意し、すでにその頃から「自立と多様性」という考えを持ち続け、自治基本条例の制定、同性パートナーシップ制度はじめ政策や施策を作る際の判断基準になっているとお話されました。

今回の講義に際し、関市の自治基本条例と他の自治体の違いについて事前に調べておくことが担当の三谷先生から課題に出されていました。講義の中では尾関さんから直にそのお話をうかがい、条例の制定までのプロセスや地域の特性を活かした地域委員会とまちづくり市民会議の設置、その機能や活動を説明され、小規模多機能自治、市民自治について語っていただきました。

また、岐阜県内で初めて導入した同性パートナーシップ制度は、急いで制度にするのではなく、まずはLGBTを浸透させるために時間をかけて取り組んだと明かされました。2016年に「LGBTフレンドリー宣言」を行った後に実施した住民アンケートではLGBTに対する認知度が27.8%、その後、職員・住民・当事者にと行った活動の成果も表れ、2021年には62.1%向上したことから、2022年4月に制度を導入しています。特に次世代を担う子どもたちへの啓発活動に力を注いだとお話しされました。

最後に、尾関さんは古代ギリシャの政治家ペリクレスの演説の一部を読み上げ、「皆さんの人生のキーワードは何ですか?考え方の根本を持って、ぜひ夢に向かって進んでほしい」と学生にエールを送り、講義を終えました。

“この政体下では、すべての市民は平等な権利をもつ。

公的な仕事への参加で得られる名誉も、生まれや育ちに 応じて与えられるのではなく、その人の努力と業績によって 与えられる。”

“アテネでは、貧しさ自体は恥と 見なされない。

だが、貧しさから抜け出そうと努力 しないことは恥と見なされる。”

“このアテネでは、市民には誰にでも公的な仕事に 就く機会が与えられている。

ゆえに、政治に無関心な市民は静かさを愛する者とは見なされず、都市国家を背負う市民の義務を 果たさない者と見なされるのだ。”