地域の医療・福祉
人口減少と高齢化はバブル崩壊後、特に中山間地域で加速化した。国内でも先進的な介護を行っている池田町のサンビレッジ新生苑(石原美智子 90年6月総会記念講演)の先進的な事例を早くも紹介された。
高齢化にともなう老人の介護が、家族や既存の福祉施設では補えなくなったことから、介護保険制度の導入(63号:1988年、65・66号:1999年)と、現状と現場のヘルパーからの声(67号:2000年)が取り上げられた。自治研センターが開催したセミナーにも多数の参加者があったことに関心の高さがうかがえた。
地方財政からみても、国民健康保険の市町村格差が顕在化した(山田眞稔 75号:2004年)。高橋弦は、岐阜県(78号:2006年)、岐阜市(84号:2006年)、高齢者医療保険(その1:90号:2009年、その2:93号:同年)、医療保険制度の再構築(99号:2011年)、「協会けんぽ」(101号:2011年).国保の広域化(105号:2013年)と、県内での医療についての分析を続けている。
2009年には「地域医療を守るために」を開催し、徳島からの報告(91号:2009年)に続いて、岐阜市長、岐阜大学、市民のそれぞれの立場からのシンポジウム(92号:同年)を掲載している。つづいて「住民に期待される医療をいかに続けていくか」(太田維久 100号:2011年)では、自治労と中津川市民病院と市民からの報告で議論している。太田はさらに県の地域医療構想策定について報告している(114号:2016年)。
各地の病院の存続や再建問題は、下呂(太田、97号:2010年)、中津川(吉村久資 117号:2017年、119号:同年)などで論じられている。病床や医師の確保が難しくなっていく中で、2020年からの新型コロナ問題は、病院・診療所や保健所のエッセンシャルな必要性をもう一度、浮き彫りにしている。
新型コロナウィルスをめぐる状況については、岐阜県感染症対策専門家会議のメンバーでもある村上啓雄(増刊5号:2021年)で特集している。
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