自治体職員の働く環境
自治体職員といえば、今なお、ゆとりある働き方の可能な人たちであると思われがちですが、数十年にわたって続いた行政改革により、現在では職場のあり方も様変わりし、とてもそのような職場とは言えなくなってきています。そうした一般的イメージと 実態とのギャップは、ただでさえ多忙化している自治体職員に大きな精神的負担を課して いるように思います。そうしたギャップを少しでも埋められないかと思いから、2020年10月に アンケート調査を企画しました。本アンケートの特色は、記述式回答を重要視し、 問題を質的に深掘りしようとした点にあります。
集計を通じて強く印 象に残ったことは、さまざまな自治体がかなり共通する問題を抱えているという点です。回答があった課題を大きく分類した四つの分野(①労働、② 業務体制、③市民との関係性、④市町村合併、広域連携・緊急時対応)しましたが、いずれについても当てはまります。そういう意味では、個 別の自治体の垣根を越えた問題の共有と解決への取り組みが求められており、そのための 下地はすでに醸成されつつあると言えるのではないでしょうか。
他方、それにもかかわらず近隣自治体との情報共有があまり進んでいない実態も浮かび 上がってきました。そこには、人員削減と業務量の多さから、各職員が当面の仕事をこな すだけで手一杯になっていること、非正規化の進行など雇用形態の多様化により同じ職場 ですら意識の共有がしにくくなっていることなどの事情があるように思います。
アンケートを通じて浮き彫りになったそうした現状を踏まえ、自治研センターとしては、 まずはこの自治体間での情報共有の一助となるような活動を行っていきたいと考えていま す。また、自治体におけるサービス残業、会計年度任用職員、AI 化、公民協働、市町村 合併のその後、コロナ対応等々、検討すべき多くの研究課題が提起されているので、それらについても個別に掘り下げていきます。
増刊5号 2021年9月15日発行
| 報告 | 自治体職員アンケート調査結果報告書 | 山本公徳 |
≪ハラスメント≫
第130号 2021年10月発行
| 特集2 | 自治体における市民からの悪質クレーム等について – アンケートの紹介に関連して | 三谷 晋 |
| 地域レポート | カスタマーハラスメントについて | 野村美穂 |
第132号 2022年6月発行
| 報告 | 自治体職員アンケート調査結果報告書の反響 | センター事務局 |
第133号 2022年10月発行
| 特集2 | 自治体職員アンケートから見えてきた現代地方自治の課題 ─ 職場ストレスの「可視化」とその「解消」をめざして | 山本公徳 |
| 報告 | 「クレーマー対応には組織的な対応が必要」職場で 悩む職員の声をもとに意見交換、対応方法を学ぶ | センター事務局 |
第137号 2024年2月
| 特集2 | パワハラ行為を理由とする分限免職処分はどこまで許されるのか | 河合塁 |
≪非正規公務員≫
第138号 2024年6月発行
| 特集1 | 非正規地方公務員をめぐる自治体の 方針に関する考察 ─総務省調査を中心に─ | 上林得郎 |
第139号
| 特集1 | 働き方改革としての非正規公務員問題 ─ 公務員志望者激減の中で | 山本公徳 |
≪働き方≫
第141号 2025年6月発行
| 特集2 | 2025 年施行の育児介護休業法改正と自治体職員への 育児・介護支援 ─ 臼杵市役所へのヒアリングを踏まえて | 河合 塁 |
