岐⾩県地⽅⾃治研究センター

自治体(関市、岐阜市、各務原市)・大学との協働研究


センターでは1978年の発足以来、県内各地域の課題や政策に関する調査・研究を続けています。過去には飛騨や徳山村での共同調査を行った経過がありますが、2022年度を初回に、これまでに関市、岐阜市、各務原市と協定を結び岐阜大学と連携し「まちづくり」を主題に調査事業を実施しました。

≪2022年度≫「関市のまちづくりの現状と課題

関市は「刃物のまち」として国内外に知られています。平成の大合併によりV字型の市域となり、中山間地域の人口減少が課題です。市は地方自治法や合併特例法による「地域自治区」を設けず、平成26年から小学校区を単位とした15の「地域委員会」を組織し、住民主体のまちづくりが進められています。市民活動の広がりや若者の地域参加など、多面的なまちづくりに着目しました。さらに、議会改革や環境施策、LGBT支援など、多様なテーマにも積極的に取り組んでおり、そのことについても取り上げました。そして「関市のまちづくりの現状と課題」として報告書をまとめました。

報告書 2022年3月発行

協働研究関市の成り立ちと人口の動向富樫幸一
協働研究関市の地域委員会について富樫幸一
協働研究地域自治組織と地域おこし協力隊の相互関係性に関する検討
— 岐阜県関市を事例に —
甲斐智大
協働研究関市まちづくり協議会(民間団体)について松田一浩
協働研究関市との関わりと高校〜大学での活動 今後の関市について加藤悠史
協働研究関のまちづくり団体として NPO 法人ぶうめらんの取組み北村隆幸
協働研究まちづくり市民会議について林 加奈
協働研究関市自治基本条例と運用三谷 晋
協働研究地方議会改革と議員報酬に関する
一考察〜関市の取り組みに寄せて
山本公徳
協働研究岐阜地域における「性の多様性」に関する取組みの現状
—先陣を切った関市につづく展開を期待して
立石直子
協働研究関市の自然環境と希少生物の保全向井貴彦

2022年4月には関市・尾関健司市長に報告書の完成を伝えながら意見交換を行いました。8月には関市内で報告会を開催し、まちづくりに関わる住民のみなさんをはじめ市職員・市議会議員、センター会員ら40人が参加しました。ワークショップは名刺交換からスタート。「同じ市内に住んでいても地域や組織が異なると交流がなかったが今回の参加によってつながりができた。この場を今後に活かしたい」と大変喜ばれる機会となりました。

≪2023年度≫「岐阜市のまちづくりと市民活動」

2023年度はセンター・岐阜市・岐阜大学と協働し、岐阜市におけるまちづくりと市民活動をテーマに研究をしました。岐阜市では自治会やまちづくり協議会、市民団体、NPOなど数多くの団体がまちづくりを進めています。市街地の再生や歴史を生かしたまちづくり、若者のまちづくり、小中学校・高校・大学との連携があったりと、多彩な取り組みが行われています。こうした活動の積み重ねを整理し、成果や課題を共有しながら、人口減少や高齢化が進む中でこれからの市民協働のあり方を考えることが、この調査研究のねらいです。これらは「岐阜市のまちづくりと市民活動」というタイトルで報告書をまとめました。2023年4月には岐阜市・柴橋正直市長に報告書の完成を伝え、意見交換を行いました。

報告書 2023年3月発行

協働研究岐阜市における市民協働と都市内分権富樫幸一(岐阜大学地域科学部名誉教授)
協働研究 「玉宮まちづくり協議会の歴史と現状」について高森正明(玉宮まちづくり協議会会長)
協働研究柳ヶ瀬のまちづくり ① 岐阜市柳ヶ瀬商店街における活性化活動への評価 ~本通り商店街店主に対する聞き取り調査を通して甲斐智大(岐阜大学地域科学部)
協働研究柳ヶ瀬のまちづくり ②若者のまちづくり 福富 梢(柳ケ瀬を楽しいまちにする会社)
協働研究金華のまちづくり富樫幸一
協働研究加納地域のまちづくり富樫幸一
協働研究よみがえれ黒野城: ふるさとのまちづくり市民活動河口耕三(黒野城と加藤貞泰公研究会会長)
協働研究絆を結ぶまちづくり:芥見東まちづくり協議会山田正行(芥見東まちづくり協議会会長)
協働研究まちづくりの担い手としての高校生と岐阜市・
高校の協働について
三谷 晋(岐阜大学地域科学部准教授)

10月には岐阜市の「みんなの森 ぎふメディアコスモス」にて報告会を開催しました。それぞれの研究者が報告と課題提起をしました。自治体職員、自治体議員、高校生、大学生、教諭、研究会、各地域のまちづくりのリーダー、市民ら約60人の参加があり、ワークショップでは立場の垣根を越えて活発な情報交換や意見交換が行われました。

24年度は、センター・岐阜市・岐阜大学が協働し、各務原市のまちづくりと市民活動をテーマに研究を行いました。
市民が自ら地域の課題を考え、行動し、楽しむことがまちづくりへとつながっている様子を、いくつかの地域事例を通して紹介しています。歴史や文化が起点となっているまちづくり、イベントの開催がまちづくりにつながったというケースも紹介しています。また、市民活動を支援する行政の取り組みも注目し、各務原市の多様なまちづくりの姿を「各務原市のまちづくりと市民活動」をまとめました。同年4月には各務原市・浅野健司市長を訪問し、報告書の完成を報告するとともに意見交換を行いました。

報告書 2024年3月発行

協働研究各務原市の人口と産業 富樫幸一
協働研究各務原市はどのように公園都市となったか
〜各務原台地の地理と歴史
小野千里
協働研究中山道鵜沼宿安田新作=中山道鵜沼宿
まちづくりの会顧問
協働研究新加納のまちづくり新加納のまちづくり会
協働研究川上貞奴と貞奴をキーワードにした地域文化活動藤田敦子
協働研究つつじが丘自治会杉山忠男=八木山自治会連合会
協働研究大野町の歴史と大野町自治会の取り組み鈴木智晴=輝く大野町まちづくり委員会事務局長
協働研究トーク・インかわしま川島町の皆さん
協働研究まちを楽しむ人たちのコミュニティかかみがはら暮らし委員会
協働研究各務原市のまちづくり活動助成金について各務原市市長公室まちづくり推進課

7月には各務原市役所で報告会を開催しました。開会のあいさつでは浅野市長が「各務原市は『市民協働』を一丁目一番地に取り組んでいる。今日のテーマである『もっとみんながつながる!』をキーワードに、この機会に新たなつながりを作り、今後のまちづくりの取り組みに活かしてもらいたい」と話しました。
 報告会には、市民のみなさん、市職員、労働組合、まちづくりの団体、自治会、他市の自治体議員など45 人が参加しました。